水面(みなも)から炎のようにゆらめき
僕は空へゆらりと飛び立った
まだ見ぬあなたを求め
月の影にたゆたう陽炎
きらめく幾千もの羽根が舞い踊る
迫りくる捕食者の脇をすりぬけ
僕はあなたをさがす
夢幻(ゆめまぼろし)をうつす月光
白く燃える夜は刹那の狂気
絡みあい結びあい消えていく陽炎
あなたへと続く光求め
力の限り飛び続けた体を切り裂く月光
僕の命は尽きゆらゆら落ちていく
瞼の裏に まだ見ぬあなたを見つけ
包み込む あなたはかげろう
一陣の風が銀色に煌めく命を舞いあげ
一夜かぎりの月下の宴は陽炎のように
晩夏の夢と消え失せる
澄んだ月の光のながれに紛れ込んだ
ぼくたちは 悠遠(ゆうえん)をただようかげろう
たとえ形がなくても ふれあえなくても
さよならのない世界へあなたとふたり
ゆらゆらといつまでもいつまでもいつまでも
見果てぬ夜明けを夢見る僕はかげろう
さよなら、僕はかげろう