ひト?

ダミー

目次

(1)
ドーバーキャッスルのグランドシャフトの直径を100M に大きくし、高さを80Mほどにした筒状の壁は鉄と石でできている。

この壁に囲まれるように大きな広場がある。
壁のあちこちに人が出入りする入口があり、それは階段で下の広場につながっている。

広場を囲むようにレストランや雑貨店が並んでいる。

この広場を中心に放射線状にいくつもの道が外に向かって伸びている。

その中の一番大きな道を歩き、さらに左折、右折を繰り返し、僕は路地へ入っていく。

(2)
気が付くと地下にある個人病院のベッドの上に僕は仰向けに横たわっていた。
足元にはきれいなクリーム色の胃と腸がスタンドにかけられているのが見える。
スタンドの奥には色とりどりの美しい医療瓶が並んでいた。

スタンドの横に立つ男は医者のようで、
今日胃と腸を取り付けることを僕に伝えた、
そしてその前にまずは心臓を付けてみると言い、


少しだけ死ぬが良いか?

と尋ねた。

僕は、
はい、大丈夫です

と答え、

医者は僕の胸に心臓を近付ける。
僕の胸はゆっくりへこみはじめ、次の瞬間ぽっかりと空間ができた。
僕の体からは血管らしき管がいくつも空間に向かって伸びていた。
管の先端は蓋で閉じられていた。

医者は一つの蓋を外した。

その瞬間、
僕は死んだ。

医者は心臓からいくつも出ている管の1つを先ほど蓋を外した僕の管に接続した。

僕は目を開け、

尋ねる、

少し死んでいました?


医者はうなずき、次々と僕の管の蓋を外して接続していく。
蓋を外されるたびに、僕は死に、接続されるたびに生き返った。
僕は生死を幾度となく繰り返す。

すべての管の接続が完了してようやく心臓がつけられると、
医者は本格的に手術にとりかかるから、僕はしばらく寝ていることになると伝えた。

僕は、ついでに先日マッサージで痛めてた左首筋と左肩をつなぐ筋を変えてほしいとお願いした。
了承した医者は、ついでに男性器も併せて手術するといった。
僕はあいまいに頷きながら眠りに落ちた。


(3)
正中線よりやや左の胸から腹部下までまっすぐにのびた傷跡、
左首筋から背中の左脇に伸びた細い傷跡ができていた。
医者は僕に右尻とふとももの付け根の間に10㎝程度の傷があることを伝えた。
なぜそこに傷があるのか分からなかったが、僕はうなずいた。
医者は、その傷跡には2×3cmの薄いきれいな赤身を数珠繋ぎに乗せておくと回復するといった。
ただし赤身はフレッシュであることが重要だと付け加えた。


(4)
コミュニティに戻った僕は思ったより傷は大きいようだと知り合いに伝えた。
一人の女性が僕に8枚の正確に測られた2cm×3cmの薄い赤身をみせ、
きれいでしょうといった。
その1つには赤身片いっぱいに描かれたクリーム色の円がみえる、
また他の1つにはクリーム色の小さな星が散らばっている。

確かにきれいだ。

(5)
僕は鉄と石でできた階段を下り、
広場から放射状に延びている道の1つにむかって歩いている。

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