邯鄲波の合間

目次


熱帯の海に浮かぶ緑が生い茂る島

島に砂浜はなく

島の縁はマングローブのような木で囲まれ

島の周りには大小の岩が海面から頭を出している

どの岩も丸みを帯びている

青い空には 真っ白な雲が浮かんでいる

水はここちよい暖かさ

目を閉じた瞼の奥はオレンジ色でじんわり温かい

僕は岩のそばで波に揺られゆらゆらしているところを

通りかかった一団に発見され 救助された

船底
僕は船底の一室をあてがわれ

一冊の本を開いている

そのページには夜空と海が描かれている

空と海の境界線は不明瞭で

どこからが空で どこからが海か分からない

空と思われる場所にはたくさんの星

海と思われる場所には数頭のうみがめが描かれている

本の細かな内容は思い出せないが 

うみがめは星の一族 

といった内容がかかれている

そしてうみがめは神聖な生き物らしい

外は嵐のようだが さほどの揺れを感じない 

波と風の音と船の揺れを感じながら

いつのまにか眠りにおちていた

嵐の終わり
激しい怒鳴り声が聞こえる 

急いで甲板にでて空を見上げると

嵐の峠はとっくに越えていいた

船の周りを見ると目に飛び込んできたのは 

数十艘の船
男たち
そして巨大なうみがめ

うみがめを取り囲むように船陣はくまれていた

この船は右舷をうみがめの左側にむけ進んでいる

槍を持った一人の男がうみがめの左手甲の部分に乗っているのが見える
 
大人3人はゆうに乗れそうなうみがめの手の甲である

うみがめの指先には鋭いとは言えない厚い爪がある

うみがめの左足あたりでは

一人の男が甲羅の中に引きずり込まれようとしている

すでに右肩まで甲羅の中に引き込まれていた

このまま引き込まれると星の世界に行ってしまう

うみがめは星の世界への入り口になっている

僕は手助けをしようと一歩踏み出した

その瞬間 船体はうみがめが起こした大きな波を受けた

踏み出した足は着地することなく

体は重力を失い

目の中に大きな空が飛び込んできた

そしてふりだし
静かに岩に打ち寄せる波音が聞こえる

目が覚めると岩のそばで体を漂わせていた

背中を柔らかくヌルっとしたものが撫でた

直径1メートル 体長30メートルはあるとおもわれる黒く長いウナギのような生き物がゆっくりと泳いでいる

びっくりして岩に上がった

穏やかな生き物のようでのんびりと体をくねらせ泳いでいる

害はないようだ

周りを見渡すと

熱帯の海に浮かぶ緑が生い茂る浜辺のない島

島の縁はマングローブのような木で囲まれて

島の周りには大小のなめらかな岩が海面から頭を出している

空は青く 真っ白な雲が浮かんでいる

水はここちよい暖かさ

波はおだやかに揺れている

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